2024年5月30日木曜日

6月前半のことば

 6月前半のことば

「逃げて叱られるのは人間だけ」


 私たちの悩みはほぼ人間関係にあるといっても過言ではありません。人との接触によって救われたり癒やされることが多いのはもちろんですが、摩擦によって参ってしまうことも珍しいことではありません。

 動物は自然の法則に従って生きています。彼らは危険を感じたら逃げることができます。しかし、人間はそんな簡単にはいきません。私たちは社会的なルールや期待に縛られています。だから逃げることは許されないと感じることがありますし、実際に逃げると非難を浴びることもあります。

 また、組織の慣例や圧力に慣れてしまい、逃げることはいけないこと、恥ずかしいことだと思い込んでしまう場合もあります。

 でも、火事や地震のような緊急事態では、逃げることが生き延びるための重要な行動であるように、時には精神的、肉体的な攻撃や圧力から逃げないと、心身共に深刻なダメージを受けることだってあります。

 「それができれば世話はない」という方も多いことでしょうが、この「逃げて叱られるのは人間だけ」という言葉を心の片隅に入れておき、誰にも相談できない辛い目に遭った時に思い出していただきたいのです。          

2024年5月14日火曜日

5月後半のことば

 5月後半のことば

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」


  このことばは、理論物理学者アルベルト・アインシュタインが語ったものです。「自分の常識がすべてだ」と思っていると、新しい発見などできないのでしょう。

 私たちが常識だと思っているものは、限られた経験の中で形作られた、張り子の虎にすぎません。

 生まれた国や地域、育ってきた家庭、両親の価値観、学校の先生や友人、宗教など、僅かな期間の人生で関わってきた環境の中の「当たり前」を常識と呼んでいるのでしょう。自分が「当たり前」だと思い込んでいる固定観念や偏見に凝り固まると、他者との違いばかりが目に付き、他者を受け入れることができなくなってしまいます。そして自分の常識を盾にして、「あいつが間違っている」と批判していると、恐らくこの世が生きづらくなっていくことでしょう。

 生きづらさから抜け出すためには、一方で「自分が常識だと思っていることは、わずかな人生経験から得た、偏りにすぎないのだ」という、自分を見る目を持つことが大切です。