(本文)
舎利弗(しゃりほつ)、
下方(げほう)世界にも師子仏(ししぶつ)、
名聞仏(みょうもんぶつ)、
名光仏(みょうこうぶつ)、
達摩仏(だつまぶつ)、法幢仏(ほうどうぶつ)、
持法仏(じほうぶつ)有(ましま)す。
かくの如き等(ら)の
恒河沙数(ごうがしゃしゅ)の諸仏、
各おのその国において、広長(こうじょう)の
舌相(ぜっそう)を出(い)だして
遍く三千大千世界に覆いて、
誠実(じょうじつ)の言(ことば)を説きたまう。
汝等(なんじら)衆生(しゅじょう)、
まさにこの称讃(しょうさん)
不可思議功徳(ふかしぎくどく)
一切諸仏(いっさいしょぶつ)
所護念経(しょうごねんぎょう)を信ずべし。
(現代語訳)
〈釈尊から舎利弗(しゃりほつ)に向けてのお言葉のつづき〉
「舎利弗(しゃりほつ)よ、
下方(げほう)世界にも師子仏(ししぶつ)、
名聞仏(みょうもんぶつ)、
名光仏(みょうこうぶつ)、
達摩仏(だつまぶつ)、法幢仏(ほうどうぶつ)、
持法仏(じほうぶつ)がおられる。
それらのガンジス川の砂の数ほどの、
数え切れないほど多くの仏さまが、
各々の国において、大きな舌を出して、
三千大千世界を覆って、
次のような真実の言葉を説くのである。
あなたがたは、まさにこの阿弥陀仏の
計り知れない功徳を讃え、
すべての仏によって護られることを説く
経典を信じなさいと」
(解説)
諸仏は「この教えが間違いない」ということを
「大きな舌を出して、三千大千世界を覆う」
という変わった行動で示されます。
「嘘をついたら閻魔さんに舌を抜かれるよ」と
子供の頃親から言われたものです。
舌は「真実」の象徴なのです。
善導大師(ぜんどうだいし)は、
諸仏が舌を出して誠を証明されるという行為を
「もし念仏を称えて極楽往生ができなければ、
諸仏は舌を出して二度と口に戻すことがない。
そうすれば舌はそのうち腐って爛れ落ちて
しまうであろう」という表現である、
とおっしゃっています。
諸仏は真実を表す「舌」に誓って
念仏を称えれば極楽へ往生できることが
間違いない、とおっしゃっているのです。