2020年6月12日金曜日

良忠上人のご生涯⑦(赤築地〈あかつじ〉の談合)

源智上人は法然上人門下の中でも、

法然上人の元で常随給仕された側近のお弟子として、

一目おかれる存在でありました。

その源智上人は奇しくも聖光上人と同じ年の年末に

極楽浄土へと往生されます。

源智上人にも多くのお弟子がおられました。

その中で源智上人の跡を継がれたのは蓮寂(れんじゃく)上人です。

京都に立ち寄った良忠上人は、

教えを確認するために蓮寂(れんじゃく)上人を訪ねました。

聖光上人の弟子である良忠上人。

源智上人のお弟子蓮寂上人。

どちらも法然上人からすると孫弟子です。

このお二人が京都は東山の赤築地(あかつじ)にて

四十八日間の談義をして、聖光上人の流れと

源智上人の流れを付き合わせたところ、

間違いなく符合することを確認しました。

そこで蓮寂上人は

「紫野(むらさきの)門徒は鎮西(ちんぜい)聖光上人の流れと同じである」

として別流を立てないことを明らかにされたのです。

教えを伝えている間に自分の考えを盛り込んでいくと、

徐々に異なったものになってきます。

浄土宗は聖光上人が良忠上人に伝えたように

「一器の水を一器へ写す」ようにして

同じ教えをそのままに伝授してゆくのです。

源智上人も同じく蓮寂上人へ伝授されました。

こうして大切な確認を終え、良忠上人は東国へと向かわれます。
『勢観房源智上人』
総本山知恩院