2020年8月3日月曜日

無明②(無常その2)

その怖い「死」というものは一回きりではなく、

仏教のみ教えでは、

「何度も繰り返してその恐怖を味わうのだ」

と説かれています。



ラベル「浄土宗の教え 第2部 念仏と出会うということ」




我々は苦しみ迷いの世界をずっと

「生まれては死に」を繰り返しているといいます。

「自分が死ぬ」ことも怖いのに、それだけではなく、

「愛する人と死に別れる」という身を引き裂かれるような

悲しみにも出会わなければなりません。

必ず別れなくてはならないのが世界の定めです。

「長生きをするほど別れ多くなる」と川柳でも詠まれます。

一回死ぬだけでも恐ろしいことなのに、

何度もそれを体験するのです。

同じ「無常」でも私たちは「子供の成長」や、

「病気が回復する」という望ましい変化は

喜んで受け入れます。

しかし、自分の「老い」「病」「死」、愛する人の「死」、

こちらの「無常」は受け入れ難いことでしょう。

誰もが生きていたら老いていくし、病気になるし、

いつか必ず死を迎えます。

「いつ死ぬかもわからない」

というのは至極当然の事実なのに、

自分はまだ大丈夫だと思ってしまいます。

『方丈記』
鴨長明
現代語訳・安良岡康作