『無量寿経』の言葉の意味に気づいた感激は続き、
しみじみと喜びを味わいました。
しかしふと気がつきました。
「過去に仏と遇いながら、
今現在まだ輪廻しているというのはどういうことか?」
そうです。
かつて仏と遇うほどの強い縁に遇いながら、
その時には心が向かなかったのでしょう。
仏がお説きくださることに従わず、それをないがしろにし、
日々の忙しさにかまけて煩悩による行いを続けて、
また悪道で長い時間を過ごしたのでしょう。
仏と出会いながら、そのチャンスを
ものにすることができなかったのです。
それでまた生まれ変わり死に変わり輪廻を繰り返し、
やって人として生まれた。
それからまた輪廻を繰り返し、
このたびもう一度人として生まれ、
仏教に出会い、お念仏のみ教えと出会った。
そしてこのたびはようやく
信じることができたのです。
何度も輪廻を繰り返し、ようやく輪廻から離れ、
西方極楽浄土へと往生するチャンスを
ものにすることができたのです。
『現代語訳 浄土三部経』
浄土宗総合研究所編