国王は世俗の方法で人々を救うことに限界を感じ、
悩んだ末、出家に救いを求めます。
国王は「世自在王如仏」(せじざいおうぶつ)
という仏さまの元に行き、
教えを請われました。
「世俗の力」つまり現代でいう「福祉」だけでは
すべての者を救うことはできない。
すべての者を救いたい、とおっしゃり、
弟子入りされます。
国王は出家して「法蔵菩薩」となられます。
すべての者を救いたいという法蔵菩薩に、
世自在王仏は、色んな浄土を見せて下さいます。
浄土というのは極楽浄土だけではありません。
仏さまお一方につき、一つの浄土があります。
阿弥陀さまの浄土は「西方極楽浄土」
薬師如来(やくしにょらい)には「
東方瑠璃光浄土(とうほうるりこうじょうど)」
お釈迦さまは「無勝荘厳浄土(むしょうしょうごんじょうど)」
という風に、仏さまによってそれぞれの浄土があるのです。
世自在王仏(せじざいおうぶつ)は神通力を使って、
法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)に
多くの仏さまの浄土をお見せになりました。
そのすべての仏さまの浄土のよいところをとって、
最も素晴らしい浄土を創ろう、
そこにすべての者を迎えとりたいと、
法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)は考
えるようになってゆかれました。
『浄土三部経概説』
坪井俊映