2021年3月26日金曜日

三義校量(さんぎきょうりょう) ② 業道経(ごうどうきょう)

(本文)


問いて曰く、業道経(ごうどうきょう)に


言(のたま)わく、業道(ごうどう)は


称(はかり)のごとし。


重き者先ず牽くと。




(現代語訳)


お尋ねします。


業道経(ごうどうきょう)にこのようにあります。


「業の報いは秤のようなものなので、


重い方に傾くものである」






「業道経(ごうどうきょう)」というお経が


どのお経なのか、実は本当のところはわかりません。


『無量寿経(むりょうじゅきょう)』に「五悪段」と


呼ばれるところがあり、それを「業道経」と


言っているのだ、という説がありますが、


完全に文章が一致しているわけではないので、


確定はできません。


『往生論註(おうじょうろんちゅう)』には


その「業道経」に


「業(ごう)の報いは秤のようなものなので、


重い方に傾くものである」と記されているといいます。


「業(ごう)」というのは「行い」という意味で、


仏教では善業の結果は「楽(らく)」であり、


悪業の結果は「苦」であると説かれます。


善業をなすごとに、どのタイミングになるかはわかりませんが、


必ず「楽果(らっか)」がもたらされます。


悪業をなせば、未来に必ず「苦果(くか)」が訪れます。


自分の業を秤にかけた時、善業が多ければ楽果に傾き、


悪業が多ければ苦果に傾くはずだ、というのです。