(本文)
問いて曰く、業道経(ごうどうきょう)に
言(のたま)わく、業道(ごうどう)は
称(はかり)のごとし。
重き者先ず牽くと。
(現代語訳)
お尋ねします。
業道経(ごうどうきょう)にこのようにあります。
「業の報いは秤のようなものなので、
重い方に傾くものである」
「業道経(ごうどうきょう)」というお経が
どのお経なのか、実は本当のところはわかりません。
『無量寿経(むりょうじゅきょう)』に「五悪段」と
呼ばれるところがあり、それを「業道経」と
言っているのだ、という説がありますが、
完全に文章が一致しているわけではないので、
確定はできません。
『往生論註(おうじょうろんちゅう)』には
その「業道経」に
「業(ごう)の報いは秤のようなものなので、
重い方に傾くものである」と記されているといいます。
「業(ごう)」というのは「行い」という意味で、
仏教では善業の結果は「楽(らく)」であり、
悪業の結果は「苦」であると説かれます。
善業をなすごとに、どのタイミングになるかはわかりませんが、
必ず「楽果(らっか)」がもたらされます。
悪業をなせば、未来に必ず「苦果(くか)」が訪れます。
自分の業を秤にかけた時、善業が多ければ楽果に傾き、
悪業が多ければ苦果に傾くはずだ、というのです。