2020年9月12日土曜日

浄土宗のおつとめ㉜(総願偈〈そうがんげ〉)その三

別回向(べつえこう)と総回向(そうえこう)が

 

あるように、

 

別願(べつがん)と総願(そうがん)があります。

 

別願(べつがん)は個人個人が

 

「仏になったらこんなことを実現したい!」

 

と願う心です。

 

阿弥陀仏の四十八願(いわゆる本願)がこれに当たります。

 

その「別願(べつがん)」に対して、

 

仏教徒みんなが願う心が「総願(そうがん)」です。

 

具体的には四つあるので、

 

「四弘誓願(しぐぜいがん)」ともいいます。

 

その四つとは

 

「度(ど)・断(だん)・知(ち)・証(しょう)」です。

 

「度(ど)」は氵をつけると「渡」になるように、

 

「覚りの岸へ渡す」という意味です。

 

総願偈の一句目がそれに当たります。

 

「衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)」

 

要するに「人々を救いたい!」という願いです。

 

次に「断(だん)」は

 

「煩悩(ぼんのうを断ち切りたい!」という願いです。

 

二句目の「煩悩無辺誓願断(ぼんのうむへんせいがんだん)」

 

がそれに当たります。

 

次の「知(ち)」は、

 

「仏法を学び尽くしたい!」の意です。

 

三句目の「法門無尽誓願知(ほうもんむじんせいがんち)」

 

がそれに相当します。

 

最後の「証(しょう)」は

 

「覚りたい!成仏(じょうぶつ)したい!」です。

 

四句目の「無上菩提誓願証(むじょうぼだいせいがんしょう)」

 

がそれに当たります。

 

 

「度(ど)」は「他者のため」です。

 

「断(だん)・知(ち)・証(しょう)」は

 

「自らのため」です。

 

今の自分を見つめると、エゴの塊かもしれませんが、


いずれは煩悩(ぼんのう)を断ち切り、


仏法を知り尽くし、成仏した暁月には、

 

「すべての者を救う」存在になりたいものです。