法然上人が残された文章の中で、
私たちが最もよく拝読するのが
この『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』
だといえるでしょう。
法然上人は建暦(けんりゃく)二年の正月二十五日に
極楽浄土へ往生されました。
そのわずか二日前に、側近のお弟子である
勢観房源智(せいかんぼう げんち)上人が
「浄土宗の肝要をお示しください」と懇願され、
その願いに応えて病床の身を起こし、
一枚の紙にしたためられたと言われています。
源智(げんち)上人は、浄土宗にとって
とても重要な方です。
その源智(げんち)上人につきましては
以前「聖光上人のご生涯」と「良忠上人のご生涯」
で触れましたのでそちらをご覧ください。
https://hourinji.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html
「良忠上人のご生涯」より
『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』と同内容の書簡を
浄土宗第二祖「聖光(しょうこう)上人」も
授かっておられ、「ご誓言の書(ごせいごんのしょ)」
として今に伝えられています。
聖光(しょうこう)上人が、いつ法然上人から
この書簡を授かったのかはわかりませんが、
臨終間際ではありませんから、
法然上人は、かねてより「浄土宗の肝要」として
この文章を用意されていたのだと思われます。
もしかしたら、このお二方以外にも法然上人から
授かった方もおられるかもしれません。
その中、私たちが日々拝読している
『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』は
法然上人の臨終間際に、
今の総本山知恩院勢至堂(せいしどう)
辺りにあった庵にて、
源智(げんち)上人に授けられたと伝わるものです。