2021年3月7日日曜日

下品下生(げほんげしょう)④ 下品下生(げほんげしょう) その二

(本文)


かくのごとき愚人(ぐにん)、


悪業(あくごう)をもっての故に、


まさに悪道に堕(だ)して、


多劫(たこう)を経歴(きょうりゃく)して、


苦を受くること窮(きわ)まりなかるべし。




(現代語訳)


このような愚かな人は悪業(あくごう)を


犯したがために、必ずや地獄・餓鬼・畜生の


三つの悪しき境涯に堕ちるであろう。


そこでとてつもなく長い時間を過ごして、


しかも果てしなく苦しみ続けるのである。






仏教では因果の道理を説きます。


善業(よい行い)には未来に楽果(楽という結果)が、


悪業(悪い行い)には苦果(苦しみという結果)が


もたらされます。


その結果は来世に持ち越されることもあります。


もちろん他人の境遇を見て、


「きっとあの人は前世に悪いことをしたに違いない」


などという判断はできません。


また因果の道理を差別に使うのはもってのほかです。


そもそも今人間として生まれてきている時点で、


前世には人間に生まれるだけの


善業を積んできたといえるのです。


そうやってせっかく人の身を受けたのに、


今この世で十悪・五逆の悪業をなした者は、


地獄・餓鬼・畜生に生まれるのだ、


と説かれているのです。


どれだけ知識や学問があろうとも、


因果の道理を知らずに悪業を積んでいると、


そのような結果が未来にもたらされてしまいます。


気をつけなくてはなりません。



「業(ごう」につきまして、以下に参考文献を


挙げておきます。



参考文献

○〈業〉とは何か   平岡聡著   筑摩選書


○業・宿業の思想   櫻部建講述  平楽寺書店


○業を見すえて    浄土宗    浄土宗出版