(本文)
答えて曰わく、汝五逆(ごぎゃく)・
十悪(じゅうあく)の繋業(けごう)等を
重(じゅう)と為し、
下下品(げげぼん)の人(にん)の十念を以て
軽(きょう)と為して、
罪の為に牽かれて先ず地獄に堕して
三界(さんがい)に繋在(けざい)すべしと謂わば、
今当(まさ)に義を以て校量(きょうりょう)すべし。
(現代語訳)
答えましょう。
あなたは五逆(ごぎゃく)や
十悪(じゅうあく)の苦しみ迷いの世界に
縛り付けられる行いが重いとし、
下品下生(げほんげしょう)の人の十念を
軽いとみなしています。
その罪によって、まず地獄に堕ちて
苦しみの世界に縛られるのが当然であるのに、
そうではないのが理屈に合わない、
ということですね。
では今その両者の重さを秤に掛けてみましょう。
一生悪の限りを尽くした大悪人の業(ごう)と
その人がお念仏を称えた業はどちらが重いのでしょうか。
『往生論註(おうじょうろんちゅう)』では、
仏法に基づいて、三つの量り方示されています。
これを「三義校量(さんぎきょうりょう)」といいます。