「仏教入門」で「仏教の目的は苦からの解脱である」
と申し上げました。
そして
1,この人生におけるあらゆる「思い通りにならないこと」
2,「苦しみを味わう原因は煩悩にあること」
3,「苦しみから逃れる術は煩悩を断つことである」
4,「そのために仏道修行がある」
という四項目についてお伝えしました。
ただ、仏教でいうところの「苦」というのは
「思い通りにならない」という意味で、
このことは「今のこの人生」だけのことではありません。
死を迎えたらまた次の生があり、
また次の生があり、と延々と
「生まれては死に」を繰り返すというのです。
私たちには前世があり、
そして死んだ後も後世(ごせ)がある。
後世(ごせ)とはいわゆる来世のことです。
命の始まりを辿っても始まりはない。
これを文字通り「無始」(むし)といいます。
終わりを辿っても終わりはない。
「無終」(むじゅう)といいます。
始まりはなく終わりはない。
「無始無終」(むしむじゅう)なのです。
そして前世や後世(ごせ)といっても、
決して人間であったとは限らないといいます。
もしかしたら前世は地獄にいたかも知れない。
今の行いが悪ければ、
後世(ごせ)は餓鬼道(がきどう)で苦しむかも知れない。
そういう苦しみ、迷いの世界を
延々経巡ってきた結果、今私たちは
人間に生まれてきたということです。
このように地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の
六つの世界を生まれ変わり死に変わりくり返す。
このことを「六道輪廻」(ろくどうりんね)と申します。
今私は人間として生まれ、
その真っ最中にいるというのです。
『ぼくを探しに』
シルヴァスタイン