10月後半のことば
「十夜とて 袖振り合うも 頼もしや」
十夜法要は、『無量寿経』に説かれる「この世で十日十夜の間、善い行いに励む功徳はとてつもなく大きい」という教えに由来する、浄土宗の伝統的なお勤めです。阿弥陀さまの御前に集い、共にお念仏を称える尊い仏縁として受け継がれてきました。
「袖振り合うも多生の縁」という言葉があります。「多少」ではなく「多生」です。道ですれ違う人との出会いにさえ、幾つもの過去世(多生)からの深い縁があるという意味です。
そう考えると、お十夜にお参りし、本堂で隣り合わせた方とともに手を合わせることも、決して偶然ではありません。同じ場所に集い、同じ阿弥陀さまを仰ぎ、声を合わせて「南無阿弥陀仏」と称える。そこには、前世からの尊い仏縁が結ばれています。
日々の暮らしの中では、一人でお念仏を続けることに心細さや侘しさを感じる時もあるでしょう。けれど、お十夜にお参りし、隣の方と一緒に数珠を手に取り、声を合わせて念仏を申す時、「自分は一人ではない」という確かな安心感が胸に広がります。
同じ阿弥陀さまを信じ、同じ念仏の道を歩む仲間がそばにいる。その存在が、どれほど心強い励みとなることでしょう。
私たちは煩悩を抱えた凡夫であり、自らの力で迷いの世界を離れることはできません。だからこそ阿弥陀さまは、「わが名を呼ぶ者を必ず救う」と本願をお建てくださり、念仏申す私たちを確実に極楽浄土へ迎え取ってくださるのです。
お十夜は、阿弥陀さまの温かな慈悲を仰ぎ、ともに手を携えてお念仏を申すための大切なご縁です。
「十夜とて 袖振り合うも 頼もしや」
この尊いお出会いに感謝し、皆さまとともにお念仏の道を歩んでまいりましょう。