浄土宗の教えは「所求(しょぐ)」「所帰(しょき)」
「去行(こぎょう)」の三つで表すことができます。
いわば「浄土宗の三本柱」です。
「所求(しょぐ)」とは、「求める所の土」
すなわち「どこに行きたいのか?」ということです。
それはもちろん「西方極楽浄土」です。
法然上人御作『一紙小消息(いっしこしょうそく)』に
この「所求(しょぐ)」「所帰(しょき)」
「去行(こぎょう)」について書かれている箇所があります。
まずは「所求(しょぐ)」についての箇所です。
「十方に浄土多けれど、西方を願うは
十悪五逆の衆生の生まるる故なり。
諸佛の中に弥陀に帰したてまつるは
三念五念に至るまで、自ら来迎し給う故なり。
諸行の中に念仏を用うるは、かの佛の本願なる故なり」
十方とは四方八方上下のことです。
つまりあらゆるところということです。
あらゆる方角に浄土はあります。
そして浄土の数だけ仏さまはおられます。
無数の浄土に無数の仏さまがおられます。
東方瑠璃光浄土(とうほうるりこうじょうど)には、
薬師如来がいらっしゃり、お釈迦さまは、
無勝荘厳浄土(むしょうしょうごんじょうど)
にいらっしゃいます。
阿弥陀さまのいらっしゃる浄土が西方極楽浄土です。
なぜ数ある浄土の中で、
わざわざ阿弥陀さまの西方極楽浄土なのか、というと、
十悪五逆(じゅうあくごぎゃく)の人が
往生できるからなのだ、というのです。