仏教の目的は「苦からの解脱」である、
と繰り返し申し上げてきました。
その究極の形が「成仏(じょうぶつ)」です。
ですから、「仏教は成仏を目指す教え」
とも言えるのです。
ただ、私たちのような、自分の力で煩悩を断ちきり、
成仏を遂げる力を持たない凡夫(ぼんぶ)は、
その望みを絶たれてしまっています。
それではどうしようもないのでしょうか。
浄土宗を開かれた法然上人は、
このようにおっしゃっています。
「浄土宗においては、極楽浄土に往生したい!と願うことを
菩提心(ぼだいしん)いいます」
「菩提心(ぼだいしん)」とは
「成仏を目指す心」ですから、
仏教徒として必要な心なのですが、
私たち凡夫(ぼんぶ)は、
まず極楽浄土へ往生して、その後に
成仏を目指せばいいのです。
そのような「命尽きたら極楽へ往き、その後に、
阿弥陀さまの元で仏になるまで育ててもらいたい」
と、長いスパンで大きく「成仏」を願うのが
この「総願偈(そうがんげ)」です。