9月前半のことば
「阿弥陀仏に 隔つ心はなけれども 蓋する桶に月は宿らず」
阿弥陀さまのお慈悲は、だれ一人としてもれなく注がれています。その根本には、「必ずあなたを極楽浄土へ迎え取る」という阿弥陀さまのお誓いがあります。極楽とは、苦しみや不安の尽きないこの世を越えた、安らぎの世界です。
けれども、月が夜空に輝いていても、蓋をした桶には映らないように、阿弥陀さまの光も、私たちの心が閉じてしまえば届きません。
「こんな自分は救われるはずがない」と疑う心。「まだ元気だから救いなんて先のこと」と思う心。「自分は立派に生きているから仏に頼る必要はない」と驕る心。こうした思いが、光を受けとめることを妨げる蓋となってしまうのです。
阿弥陀さまが望んでおられるのは、立派な努力や大きな功績ではありません。ただ「救われたい」と願い、お念仏「南無阿弥陀仏」と口にすることです。その願いとお念仏こそが心の蓋を外し、阿弥陀さまの光を映し出す道となります。そして、最後のときには必ず極楽浄土へと迎えてくださいます。
思いどおりにならないことの多いこの人生だからこそ、阿弥陀さまは「必ず迎える」と誓われました。蓋を外せば、水面に月が映るように、救いの光は今もあなたに届いています。