カピラバストゥーはシャカ族の国です。
シャカ族は早くから農耕を行い、人々の性格は温厚で平和な国であったといいます。
お父さまはシュッドーダナ王という王さまで、お母さまはマーヤさまといいました。
お母さまのマーヤさまは隣の国の王姫で、お二人はとても仲が良かったそうです。
あるときマーヤさまは白い象の夢を見て、ご懐妊なさったと伝えられます。
マーヤさまは当時の習慣にしたがって出産のために多くのお供を連れて実家に向かわれました。
その途中、ルンビニーという所を通られた時、色とりどりの花が咲き乱れてあまりに美しかったので、そこで休憩しようということになりました。
マーヤさまは無憂樹の橙色の花を触ろうと右手を差し出したその時、右脇からお釈迦さまがお生まれになったというんです。
そのお誕生を天も祝って甘露の雨を降らせたといいます。
お生まれになった赤ん坊は七歩歩んで右手を高く天に指さし、左手を大地にさして、「天上天下唯我独尊」とおっしゃいました。
これが4月8日で、今も「花まつり」をして、花御堂に誕生仏をお祭りして、甘露の雨にちなんで甘茶をかけてお釈迦さまののお誕生をお祝いします。
七歩歩いたのは後にお伝えしますが、「苦しみの六道を越える」という意味があります。
また「天上天下唯我独尊」という「天の神々の含めて私が最も尊い存在である」とおっしゃいました。
これは実はお釈迦さまがお覚りになられた後、ブッダになられた後におっしゃった言葉を、後の人がお誕生の時のお話として伝えたようです。
「自分のことしか考えていないわがままな人」を唯我独尊と言うことがありますが、お釈迦さまはわがままではなく「苦しみから逃れる道を覚った、尊い方である」ということを伝えるものです。
お生まれになった赤ん坊はシッダールタと名づけられました。
お母さまのマーヤさまは、悲しいことにシッダールタ王子がお生まれになってわずか7日でお亡くなりになりました。
このことはシッダールタ王子に後々まで大きな影響を与えたことと思われます。
やがてマーヤさまの妹、マハーパジャーパティーさまが後添えに入られてお釈迦さまを育てられました。
後にこのマハーパジャーパティーさまはお釈迦さまのお弟子となられまして、女性の僧侶第1号になられるんです。
『おしゃかさま』
高橋良和