(本文)
もし念仏せん者は、まさに知るべし。
この人は、これ人中(にんじゅう)の
分陀利華(ふんだりけ)なり。
観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
大勢至菩薩(だいせいしぼさつ)、
その勝友(しょうう)となる。
まさに道場に坐(ざ)すべきをもって、
諸仏の家に生(しょう)ずべし。
(現代語訳)
よくよく知っておけ。
もし念仏する者は、この人こそが
煩悩多き人々の中に咲く、
汚れなき白蓮華のようである。
そして観世音菩薩と大勢至菩薩が
その人のすぐれた友(勝友)となるのである。
未来には覚りを開く座に坐るべく、
諸仏の家系に連なるのである。
分陀利華(ふんだりけ)とは
古代インド語(サンスクリット語)で
白蓮華のことをいいます。
煩悩にまみれたこの世で念仏を称える人を
泥の中から真っ白な美しい華を咲かせる蓮に
譬えられたのです。
善導大師はこの箇所を注釈して、
念仏を称える人を好人(こうにん)、
妙好人(みょうこうにん)、上上人(じょうじょうにん)、
希有人(けうにん)、最勝人(さいしょうにん)であると
おっしゃっています。
阿弥陀さまから誉め讃えられる人だというのです。
ここから、浄土宗の教えを五つ重ねにして
しっかりと相伝する「五重相伝」を受けた人には
戒名に「○誉」という二文字が加えられるのです。
現世において、念仏を称える人には
観音菩薩や勢至菩薩に友となっていただけるという
素晴らしい特典が与えられます。
更には他の菩薩方も影の如くに寄り添ってくださり、
昼夜ずっとお護りくださいます。
未来にはなんと阿弥陀さまと座を共にすることができます。
いずれ仏になるべく、阿弥陀さまのご家庭たる
極楽浄土に生まれることができるのです。