(本文)
舎利弗(しゃりほつ)、
汝が意(こころ)において云何(いかん)。
何が故ぞ名づけて一切諸仏(いっさいしょぶつ)
所護念経(しょごねんぎょう)とする。
(現代語訳)
〈釈尊から舎利弗(しゃりほつ)に向けてのお言葉のつづき〉
「舎利弗(しゃりほつ)よ、
あなたはこのことをどう思うか?
なぜこの経典を、〈すべての仏に護られる経〉と
名づけるのか。
(解説)
念仏を称える目的は「極楽浄土へ往生すること」です。
この世は苦しみ悩み多き娑婆世界です。
念仏を称えて、「この世界での寿命が尽きたら、
極楽浄土へ往生しよう」と目指すのです。
しかし、この世での様々なトラブルに対しては
不安があります。
そのような私たちが念仏を称えていたら、
阿弥陀仏が光を放って我々を照らし、
お護りくださるのみならず、
諸仏も護ってくださるというのです。
念仏を称える者は、現世において諸仏に護られ、
臨終の時には阿弥陀仏がお迎えくださいます。
これが念仏者の「現世利益(げんぜりやく)」です。
ここで注意が必要なのは、
「念仏者の目的」です。
目的は「極楽往生」だとしっかりと思い定めて、
「念仏を称えれば諸仏が護ってくださり、
いずれ命尽きれば極楽浄土へ往生できる」
と思い定めて、この世をしっかりと生き抜くのです。
そのような「心の安定」こそが「現世利益」だとも
言えるでしょう。