2024年4月29日月曜日

5月前半のことば

 5月前半のことば

「わたしだけが悲しいのではない」


 新美南吉氏が書かれた絵本『でんでん虫のかなしみ』にこのような文章があります。

 一匹のでんでん虫がありました。ある日、そのでんでん虫は、大変なことに気がつきました。「わたしは今までうっかりしていたけれど、わたしの背中の殻の中には悲しみがいっぱい詰まっているではないか」この悲しみはどうしたらよいのでしょう。でんでん虫は、お友達のでんでん虫の所にやって行きました。「わたしはもう、生きてはいられません」と、そのでんでん虫はお友達に言いました。「何ですか」とお友達のでんでん虫は聞きました。「わたしは何と言う不幸せなものでしょう。わたしの背中の殻の中には、悲しみがいっぱい詰まっているのです」と、はじめのでんでん虫が話しました。すると、お友達のでんでん虫は言いました。「あなたばかりではありません。わたしの背中にも悲しみはいっぱいです」

 私たちは皆、それぞれの苦しみや悲しみを抱えています。

仏教の教えによれば、苦しみは生きとし生けるものの共通の経験です。

苦しみとは「思い通りにならない」ということです。

思い通りにならないことを、思い通りにしようとして、苦しんでいるのは,決して私だけではないのです。

8月前半のことば 「亡き親の しきりに恋し 蝉の声」

 8月前半のことば 「亡き親の しきりに恋し 蝉の声」   若い頃、親の言葉を素直に聞けず、反発ばかりしていた日々はありませんでしたか。進路のことで衝突したり、ささいな注意に声を荒らげたり。  しかし自分が親となり、泣きやまぬ我が子を抱いて途方に暮れる時、かつて自分を包んでいた親...