2024年4月29日月曜日

5月前半のことば

 5月前半のことば

「わたしだけが悲しいのではない」


 新美南吉氏が書かれた絵本『でんでん虫のかなしみ』にこのような文章があります。

 一匹のでんでん虫がありました。ある日、そのでんでん虫は、大変なことに気がつきました。「わたしは今までうっかりしていたけれど、わたしの背中の殻の中には悲しみがいっぱい詰まっているではないか」この悲しみはどうしたらよいのでしょう。でんでん虫は、お友達のでんでん虫の所にやって行きました。「わたしはもう、生きてはいられません」と、そのでんでん虫はお友達に言いました。「何ですか」とお友達のでんでん虫は聞きました。「わたしは何と言う不幸せなものでしょう。わたしの背中の殻の中には、悲しみがいっぱい詰まっているのです」と、はじめのでんでん虫が話しました。すると、お友達のでんでん虫は言いました。「あなたばかりではありません。わたしの背中にも悲しみはいっぱいです」

 私たちは皆、それぞれの苦しみや悲しみを抱えています。

仏教の教えによれば、苦しみは生きとし生けるものの共通の経験です。

苦しみとは「思い通りにならない」ということです。

思い通りにならないことを、思い通りにしようとして、苦しんでいるのは,決して私だけではないのです。

 5月後半のことば 「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」    このことばは、理論物理学者アルベルト・アインシュタインが語ったものです。「自分の常識がすべてだ」と思っていると、新しい発見などできないのでしょう。  私たちが常識だと思っているものは、限られた経...