12月後半のことば
「雪のうちに 仏の御名を称うれば 積もれる罪ぞ やがて消えぬる」 法然上人
しんしんと降る雪は、一粒はか弱くても、積もれば景色を一変させ、道さえ塞いでしまいます。私たちの心に積もる「罪」も、これに似ています。
悪気はなくとも自分と他人を傷つける、妬みや見栄といった「煩悩の行い」を私たちは日常で繰り返します。まるで音もなく降る雪のように、一つ一つは些細でも、知らないうちに心の奥底に罪が積もり、やがて重い荷物となってしまうのです。
法然上人は、煩悩をなくせない凡夫であると自覚され、自らの救いを求め続けて、お念仏のみ教えと出会われたのです。
このご道詠の真意は、降り積もった雪が太陽で溶けるように、私たちが積んでしまった罪も、ただひたすらに「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えることによって、たちどころに消え失せるという教えです。
阿弥陀仏は、煩悩を捨てられない私たち凡夫を、お念仏一つで救うという誓願を立てられました。ですから、嫌でも積もる罪を恐れる必要はありません。自分の罪の重さを知ったならば、阿弥陀仏のお慈悲を信じて、お念仏を称えるのみです。ただこの身を阿弥陀仏にお任せしてお念仏を称え、この世をしっかりと生き抜いていくのです。
この雪の季節、静かにお念仏とともに、心の雪を溶かしていきましょう。