私たちは何となく人に生まれ、
何となくお念仏と出会ったので決してないのです。
「お念仏」とか「南無阿弥陀仏」
という言葉を知っている人は
日本全国に多くおられるでしょう。
しかしお念仏の教えを聞き、それを信じ、
南無阿弥陀仏と称える人は
皆さんの周りにたくさんおられますか?
殆どおられないのではありませんか?
南無阿弥陀仏と称える者は、
阿弥陀仏という仏さまが苦しみの世界から
救い出してくださいます。
極楽浄土という、一切苦しみのない
世界へと救い出してくださいます。
お念仏の教えを信じ、南無阿弥陀仏と
称える者だけが、無始無終の永遠の苦しみの
呪縛から逃れることができるのです。
極楽浄土へ往ったならば、
先に往生されたみなさんの大好きな、
縁の深いあの人ともこの人とも再会することができます。
みなさんが往生されましたら、
残した人を導くことができます。
みなさんの慕わしいあの人も
極楽から見守ってくださっています
。
お導きくださっています。
どうか極楽浄土へ心を向けてください。
あの人は極楽でどう思って
私を見て下さっているのだろう?
心配して下さっているだろうな。
というように思いを寄せていくのです。
極楽に往生されたあの人は
きっと私が念仏のみ教えに入ろうとしていることを
喜んで下さっていることでしょう。
法然上人はこうおっしゃいます。
「生まれがたい人の世に生を受け、
会いがたい阿弥陀様のみ教え、
お念仏のみ教えと出会い、
その教えを信じる心をお越し、
苦しみの世界から極楽浄土へ
往生させていただくことは
悦びの中の悦びであるぞ」
このたび決して当たり前でない
ご縁を結ばせていただいたのだということを
忘れずにいたいものです。
『輪廻と解脱』
花山勝友
(「念仏と出会うということ」の項終わる)