先に十悪の最後の三つを
「限りなくむさぼる」
「気にくわないことがあると怒る」
「真理に逆らって正しくものごとを見ることができない」
このように表現しました。
この三つは私たちの「煩悩」そのものです。
「限りなくむさぼる」ことを
「貪欲(とんよく)」といいます。
皆さんは欲しい物がありますか?
もしあるとすれば、欲しくてたまらない物が
手に入った時の状況を思い浮かべてください。
本当に欲しい物が長年の苦労が成就して、
手に入りました。
手に入った瞬間は「もう他に何もいらない!」と
思うかもしれません。
しかし、その満足感は長く続かず、
次にまた別の物を欲しくなることでしょう。
「欲しい」という「欲」は「物」とは限りません。
お金、土地、美貌、若さ、地位、名誉、人・・・。
雨が降れば「晴れ」を欲しがり、
晴れれば「雨」を欲しがります。
争いが起これば「平和」を求め、
平和になれば「争い」を求めます。
いつまでたっても満足することはありません。
これが「貪欲(とんよく)」です。