2026年1月31日土曜日

2月前半のことば

 2月前半のことば

「絶対ということは 絶対にない」

                    

 私たちは無意識に「絶対」という名の杖を頼りに歩いています。「努力は実る」「日常は続く」「組織に尽くせば安泰だ」といった確信です。しかし、その杖が不意に折れたとき、人は深い落胆という名の「苦」を味わうことになります。

 かつてこの国では「右肩上がりの成長」が信じられていましたが、経済の神話も終身雇用の約束も、時代の波に消えていきました。これは個人の生活も同様です。

 「親なら、自分ならこうあるべきだ」という思い込みが強いほど、現実に裏切られた際、人は自分を責め、他者を呪ってしまいます。移ろう現実を、己の願望という枠に無理やり固定しようとするからこそ、苦しみが生じるのです。

 仏教が説く「諸行無常」は、決して冷たい宣告ではありません。すべては移ろう。だからこそ、一つの価値観に固執しなくていいという「解放」の教えです。

 「絶対はない」と知ることは、未来を恐れることではありません。何が起きても「まあ、そういうこともあるだろう」と受け流せる、しなやかな精神を養うことです。固く握りしめた「絶対」という拳をそっと解けば、世の中の見え方はきっと軽やかに変わるはずです。

8月前半のことば 「亡き親の しきりに恋し 蝉の声」

 8月前半のことば 「亡き親の しきりに恋し 蝉の声」   若い頃、親の言葉を素直に聞けず、反発ばかりしていた日々はありませんでしたか。進路のことで衝突したり、ささいな注意に声を荒らげたり。  しかし自分が親となり、泣きやまぬ我が子を抱いて途方に暮れる時、かつて自分を包んでいた親...