1月前半のことば
「のどかなり 願いなき身の 初詣」
私たちは日々、多くの願いや悩みを抱えています。仕事での成功を願ったり、家族の健康を祈ったり。その願いを成就させたり、悩みを解消したりするために、初詣で神仏に祈る方も多いことでしょう。
なぜ私たちが願いや悩みを持つのかと考えると、それは人生が「思い通りにならない」からだと言えます。家族との不和が続いたり、長年の努力が認められずに失意のうちに職を失ったり、深刻な経済的困難に直面することもあるでしょう。また、親しい人を失う悲しみや、人間関係の破綻などもあります。この「思い通りにならない」状態を仏教では「苦」と呼びます。
仏さまを拝んでいると、思い通りにならないことを思い通りにしようとしている自分に気づくことがあります。その時、私たちは「自分でできる手立てはあるのか」「悩んで解決する問題なのか」「他者を自分の都合のよいように変えようとしていないか」などと自分の願いや悩みを見つめ直すことができるのです。
「今年は何も願うことがないな」と感じるとき、それはもしかしたらあなたが今、思い通りにならないことを思い通りにしようとしていない、ということなのかもしれませんね。