2023年7月30日日曜日

8月前半のことば

 

その源を尋ね その根を培う

 

この言葉は大永4年(1524)に後柏原天皇が知恩院門跡存牛

上人に対しておっしゃったものです。


「浄土宗」という宗派は「法然上人(ほうねんしょうに

ん)」によって承安5年(1175)に開かれました。

その時から数えて来年でちょうど850年になります。


法然上人が説く「どんな者でも阿弥陀仏に救いを求め、

南無阿弥陀仏と唱えるならば、間違いなく極楽浄土へ

生まれることができる」というみ教えに、

多くの人が救いを求めました。


自らの罪深さに気づいた人

自分の無力さに膝から崩れ落ちた人

自分が築き上げてきたものや大切な人を失った人…。


仏教は今現在の生活に満足している人には

必要ないでしょう。


社会の価値観と自分の生き方が合っている人は、

そのまま生きれば良いでしょう。


しかし生きていく中で、社会でヨシとされるもの、

例えば健康・若さ・富み・名声・学歴・笑顔等々を

持てないことも、失うことも、多くの人の人生に

訪れることがあるでしょう。


その時に「念仏を唱えていたら、この世でいつか

命が尽きた後に、究極の楽土に往き生まれることができる」

という価値観を持っていることはとても心強いことです。


850年前にそんな価値観を示してくださった

法然上人の「源」を尋ねて、

しっかりと自らの「根」を培いたいものです。

5月前半のことば

 5月前半のことば 「わたしだけが悲しいのではない」   新美南吉氏が書かれた絵本『でんでん虫のかなしみ』にこのような文章があります。  一匹のでんでん虫がありました。ある日、そのでんでん虫は、大変なことに気がつきました。「わたしは今までうっかりしていたけれど、わたしの背中の殻の...