10月前半のことば
「殆どの人は自分の能力を平均以上と査定する」
心理学には「レイク・ウェビゴン効果」という言葉があります。多くの人が、自分の能力や技術を実際よりも高く評価し、「自分は平均以上だ」と考える傾向のことです。仕事の能力や車の運転などについて、「自分は人より少し上だ」と思っている人は、決して少なくありません。
そもそも「平均以上」というのは、人と比べて初めて成り立つものです。あの人より上か下か、得をしたか損をしたか。私たちは何かにつけて人と比べ、優劣や損得に心を動かされています。
仏教では、こうした心のはたらきを「煩悩」といいます。しかも困ったことに、私たちは自分に煩悩があることには、なかなか気づきません。「自分はそれほど悪い人間ではない」と思っているからです。
しかし浄土宗では、煩悩を抱え、自分の力だけではその煩悩から離れることのできない私たちを「凡夫」と呼びます。そして、阿弥陀さまは、そのような煩悩具足の凡夫をこそ救おうと、本願をお立てくださいました。
自分は人よりましだと思う心の奥にも、煩悩があります。「自分は大丈夫」と思っている私こそ、煩悩具足の凡夫なのです。
その自分の姿に気づいたとき、阿弥陀さまの本願が他人事ではなくなります。自分の力だけでは迷いから離れられない私を、必ず極楽浄土へ迎え取ってくださる。そのお慈悲にすがり、「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えるのです。