『阿弥陀経』には極楽浄土の様子がありありと
描かれています。
ですから、『阿弥陀経』を読むと、
「先に極楽へ往かれたあの人はこんな世界に
おられるのだなあ」と思いを馳せることができます。
『阿弥陀経』の後半は、あらゆるところにおられる
仏さまが、こぞって阿弥陀さまを賞賛し、
念仏者を護ってくださると説かれています。
『阿弥陀経』は、釈尊が「極楽はこのような世界で、
そこに阿弥陀仏という仏がおられ、極楽の人々は
このようなことをされている」
と説かれる形式をとっています。
つまり釈尊が極楽や阿弥陀仏を
紹介してくださっているのです。
お経は通常、お弟子のどなたかが
釈尊に教えを請い、釈尊が語り始める
という形になっているものが多いのですが、
『阿弥陀経』は、誰に請われるわけでもなく、
釈尊が多くのお弟子の前で自ら語り始める、
という非常に珍しい形のお経です。
この形式を「無問自説(むもんじせつ)」といいます。
釈尊自ら「この法を伝えたい!」と思われて、
お弟子の中の長老である舎利弗(しゃりほつ)さまを
名指し、「舎利弗よ」と繰り返し語りかけられるのです。
それでは次回から本文をご紹介してまいります。