7月前半のことば
「煩悩があるままに南無阿弥陀仏」
私たちは皆、怒ったり、欲しがったり、迷ったり、不安になったりしながら生きています。「もっと立派な人間にならなくては」と思っても、心はなかなか言うことを聞いてくれません。欲を捨てようとしても、怒りがこみあげてくる。思い通りにいかない現実に、また心が乱れる。そのたびに、自分のことが嫌になってしまいます。「こんな自分では、仏さまに見放されるのではないか」と、ふと胸がふさがることもあるでしょう。
けれども、阿弥陀さまは、そんな私たちをこそ救いたいと願われた仏さまです。「煩悩があるからこそ救わねばならない」と、はるかな昔にお誓いくださり、「ただ南無阿弥陀仏と称えよ、必ず救う」と約束してくださいました。
ですから、「立派になってから」ではなく、「煩悩のままに」南無阿弥陀仏とお称えするのです。清らかな自分を差し出すのではなく、どうしようもないこの身のままで仏さまにすがるのです。
阿弥陀さまの慈しみは、善い人にも、悪い人にも、すべてに等しく注がれています。この一声一声ごとのお念仏が、そのまま仏さまのお耳に届き、極楽へと導かれるのです。どうぞ安心して、今このままで、「南無阿弥陀仏」と声に出してみてください。阿弥陀さまは、すでにあなたのすぐそばにおられます。