十悪とは、十種の悪い行いのことです。
「殺生」「盗み」「不倫」「人を騙す」
「二枚舌を使って人を争わせる」「人を罵る」
「おべんちゃらを言う」「限りなくむさぼる」
「気にくわないことがあると怒る」
「真理に逆らって正しくものごとを見ることができない」
という十種です。
このような行いをした者は死後、
「地獄・餓鬼・畜生」へ生まれるといいます。
そのような代表的な「悪い行い」なのですが、
実は私たちの日常でもあります。
「いえいえ、そんなことをした覚えはありません」と
おっしゃる方がおられるでしょうか。
私たちは殺生せずに生きていくことはできません。
自らの手で殺生していなくとも、
たくさんの生き物の命をいただきながら、
その自覚もないまま、時には舌鼓を打ち、
時には不満を言い、粗末に扱うようなことは
していないでしょうか。
「まさか人殺しまではしないでしょう」
と思いたいのですが、自分の心の中を
深く深く覗いてみたらいかがでしょう。
人生の中では、時に憎い憎い人と出会うこともあります。
忘れたいのにその人のことが頭から離れず、
イライラしたり、それが高まると
「あんなヤツ死ねばいいのに!」と
口走ったり、心で繰り返し思うことはありませんか?
これを恐ろしい言葉ですが「呪い」といいます。
今は「そんなことをするはずはない」と
思っていても、相手にひどいことを言われたり、
社会に追い詰められた時に、
どうなってしまうのかはわかりません。
犯罪者の多くが衝動的に犯行に
及んでいるように、きっかけがあれば、
あるいは悪い条件が整えば、
人は恐ろしいことを行うことがあるのです。
新聞やニュースに出てくる犯罪者を
批判する私たちも、実は彼ら彼女らと同じ
「煩悩」という種を持っているのです。