「合掌の その同じ手で 蚊を殺め」
仏教では生き物を尊重し、できるだけ殺生を避けよと教えられています。
しかしながら、現実には蚊に刺されると反射的に叩いてしまうこともあるでしょう。
理想を語りつつも、現実に実行にうつすことは難しいものです。
殺生だけでなく、私たちは日常生活の中で、理想と現実の間で葛藤することが多々あります。
平和を願いながらも、怒りや憎しみに駆られることもあるでしょう。
これは私自身の煩悩のなせる業です。
「仕方ないじゃない」と開き直るのは簡単ですが、煩悩を野放しにしていると、自らが自らの行いによって、どんどん不幸になってしまいます。
法然上人は煩悩から逃れられない凡夫が極楽浄土へ往くことができる、お念仏の教えを説いてくださいましたが、煩悩の野放しを容認されたわけではありません。
その一つの目安として「足るを喜べているかどうか」と「目上の方を敬い、目下の方を慈しむことができているかどうか」を挙げてくださっています。
いかがでしょうか?
ついついやってしまう行動の中に、自分の煩悩の影響が強くあることに気づき、少しでも気をつけることが大切なのです。