安心(あんじん)には総安心(そうあんじん)と
別安心(べつあんじん)があります。
総安心(そうあんじん)は
安心(あんじん)の総まとめであり、
「厭離穢土(えんりえど)欣求浄土(ごんぐじょうど)」
と表現します。
「穢土(えど)」とは、
この「娑婆(しゃば)世界」のことです。
「穢土(えど)を厭(いと)い離れて
浄土を願い求めよ」という意味です。
これは、「この世なんて生きてても何の価値もないんだ」
という、ただの厭世(えんせ)思想ではありません。
そうではなく、この世を正面からまっすぐに見るのです。
この世は思い通りにならない
「四苦八苦」の人生である。
思い通りにならずに、
自らを苦しめて日々を過ごしている私である、
ということをまず認めた上で浄土を願い求めるのです。
武士が戦場で目印として旗につける紋や文字を
旗印(はたじるし)といいます。
この「厭離穢土(えんりえど)
欣求浄土(ごんぐじょうど)」は、
徳川家康公の旗印(はたじるし)です。
徳川家は代々浄土宗なのです。
家康公は浄土宗の教えに基づいて、
日々六万遍もお念仏を称えたと伝えられます。
その家康公の旗印(はたじるし)が、
「厭離穢土(えんりえど)欣求(ごんぐ)浄土」
なのです。