本日より『一紙小消息(いっしこしょうそく)』について、
申し上げてまいります。
この『一紙小消息(いっしこしょうそく)』は、
法然上人が黒田(くろだ)の上人という方に
送られたお手紙です。
黒田(くろだ)の上人は、かなり浄土の教えに
詳しい、優れた方であっただろうと思われます。
ただ、それ以上はわからず、様々な説はあるものの、
どなたなのかは、謎のままです。
お手紙ですから恐らくこの前後に
「お久しぶりですね」とか
「お元気にお過ごしでしょうか?」などの言葉も
あったのでしょうが、そういった部分を省いて、
教えの大事な部分が独立して残っておりまして、
後に「一枚の紙に記されたお手紙」という意味の
『一紙小消息(いっしこしょうそく)』
という題が付けられたようです。
法然上人の遺文では
『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』が
最もよく知られ、読まれています。
『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』は
浄土宗の教えのエキスといえるでしょう。
それに対して『一紙小消息(いっしこしょうそく)』は、
『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』よりも、
教義的に詳しく、端的に示されています。