2020年10月11日日曜日

浄土宗のおつとめ③(香偈〈こうげ〉その二)

浄土宗において、お香に三つの意味づけをしています。

 

以前「浄土宗の焼香作法」という記事を上げ、

 

その動画の中でも申し上げました。

 

https://hourinji.blogspot.com/2020/05/blog-post_26.html

 

もう一度繰り返します。

 

一つ目、「浄め(きよめ)」です。

 

お香は浄いものの象徴です。

 

その「浄い」お香で我が身、この場を浄めます。

 

 我が身は毎日お風呂に入り、歯も磨き、

 

我が身を清潔にしているつもりですが、

 

仏教でいう汚れである「煩悩(ぼんのう)」

 

についてはいかがでしょうか。

 

 煩悩から離れることのできない

 

凡夫(ぼんぶ)がお香で我が身を浄め、

 

そしてこの場を浄め、仏さまをお迎えする

 

準備を調えるのです。

 

また「我が身浄きこと香炉の如く」と

 

言うぐらいですから、香炉は時々掃除して

 

綺麗に保ちましょう。

 

火箸などで線香の燃え残りをとるとよいでしょう。

 

粗めのザルで濾すのもよいでしょう。

 

灰に湿気がたまるとゴロゴロと固まって、

 

線香が立ちにくくなります。

 

ですから時には新聞紙に灰をあけて、

 

湿気をとると尚よいでしょう。

 

湿気をとって、灰を濾すと、灰の粒子間に

 

空気が入って線香が燃え残りにくくなります。

 

二つ目、「供養(くよう)」です。

 

 よい香の薫りをお供えします。

 

ですから「よいお香」をお供えしましょう。

 

お香は高価なものから安価なものまで

 

幅広い種類があります。

 

仏さまへのお供え物はディスカウントショップで

 

できるだけ安いものを求め、

 

自分への「ご褒美」は高級なお取り寄せグルメ、

 

というのではあんまりです。

 

もちろん生活できないほど高価なお香を

 

買い求める必要はありませんが、

 

「少し背伸びして」よいお香を求めてみませんか。

 

「よいお香」を供えるということは

 

「よい薫り」を供えることです。

 

自分が「抹香くさい」などと思ってしまうお香を

 

仏さまにお供えするのではいただけません。

 

「よい薫り」のお香を選びましょう。

 

できれば化学物質の「○○の薫り」よりも、

 

「沈香(じんこう)」や「白檀(びゃくだん)」

 

などの香木(こうぼく)が入っているものを

 

お勧めします。

 

そのよい薫りを

 

「十方三世(じっぽうさんぜ)の仏さま」

 

にお供えします、というのです。

 

「十方(じっぽう)」は「四方八方+上下」です。

 

つまりは「空間的にあらゆるところ」です。

 

「三世(さんぜ)」は「過去・現在・未来」です。

 

つまりは「時間的にあらゆるところ」です。

 

空間的にも時間的にもあらゆるところにおられる

 

仏さま方にお香のよい薫りを供養するのです。

 

お香をたく意味の三つ目は「迎送(こうそう)」です。

 

仏さまは

 

「香の煙に乗ってお越しになり、お帰りくださる」

 

といいます。

 

先回も申し上げましたように、

 

この「日常勤行式」は仏さまや菩薩さまを

 

あたかも「お客さま」の如くにお迎えし、

 

その仏さまの教えを聞き、そして教えを実践し、

 

最後お送りする、という構成になっています。

 

お香を焚いて「どうぞ仏さま、菩薩さま、

 

香の煙に乗ってお越し下さい」と思いを寄せましょう。

 

お香を焚いて「香の煙に乗って本国へお帰りください。

 

見護りお導きください」と

 

思いを寄せるのです。

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