2020年11月13日金曜日

一紙小消息(いっしこしょうそく)⑬(勧門〈かんもん〉と誡門〈かいもん〉 その一)

「罪は十悪(じゅうあく)五逆(ごぎゃく)の者も生まると信じて、

 

小罪(しょうざい)をも犯さじと思うべし。

 

罪人なお生まる、況(いわ)んや善人をや」

 

法然上人はとても鋭い目線で、人間洞察されます。

 

「大丈夫、阿弥陀さまが救ってくださるからね」

 

と仰りながら、

 

「だからと言ってタガを外してはいかんよ」

 

と絶妙のバランスでお説きくださるのです。

 

 

「お説教」のことを別に「勧誡(かんかい)」ともいいます。

 

「勧」は勧める。

 

「誡(かい)」は誡(いまし)める。


お念仏を勧めるだけなら

 

「勧誡(かんかい)」にはなりません。

 

「これをやってはいけませんよ」

 

ということもお伝えしてこそ

 

「勧誡(かんかい)」なのです。

 

「勧門(かんもん)は薬の如く、

 

誡門(かいもん)は毒忌み(どくいみ)の如し」

 

といいます。

 

病気になった人に薬を与える如く、

 

「救われたい!」と願う人に

 

お念仏を勧めるのが勧門(かんもん)です。

 

「傷んだものを食べたら腹痛になりますよ」

 

「素手で漆の木を触ったらかぶれますよ」

 

と言うのが誡門(かいもん)です。

 

「十悪五逆(じゅうあくごぎゃく)の者も

 

念仏によって救われますよ」

 

「どんな悪人も阿弥陀さまは見捨てませんよ」

 

というのが勧門(かんもん)。

 

「だからと言ってどれだけでも罪を作っていい、

 

ことではありませんよ。

 

罪は作らないように心掛けましょうね」

 

というのが誡門(かいもん)です。

 

「どんな者でも救われる」という一方で、

 

「小さな罪も犯すまい」と心がけるべきなのです。

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