(本文)
離欲深正念(りよくじんしょうねん)
浄慧修梵行(じょうえしゅぼんぎょう)
志求無上道(しぐむじょうどう)
為諸天人師(いしょてんにんし)
(書き下し)
離欲と深正念と 浄慧との修梵行をもって
無上道を志求して 諸々の天人師とならん
(現代語訳)
六波羅蜜の行をして、「覚りの道」を求めて
多くの人々のために、仏となりたいと願います。
「仏になるための修行をする者」を
「菩薩(ぼさつ)」といいます。
その「菩薩(ぼさつ)」がする修行は
「布施(ふせ)」「持戒(じかい)」「忍辱(にんにく)」
「精進(しょうじん)」「禅定(ぜんじょう)」
「智慧(ちえ)」の六つあります。
これを「六波羅蜜(ろくはらみつ)」といいます。
「布施(ふせ)」は自らの欲望を断つために
自分の物を他者に施します。
この「布施(ふせ)」に「財施(ざいせ)」と
「法施(ほうせ)」の二種あることは先に書きました。
https://hourinji.blogspot.com/2020/10/blog-post_16.html
「持戒(じかい)」は仏教徒としての「良き習慣」である
「戒(かい)」に従って生活することです。
「忍辱(にんにく)」は、
「あらゆる苦しみを耐え忍ぶこと」です。
「精進(しょうじん)」は「仏道修行に邁進すること」です。
「禅定(ぜんじょう)」は「
智慧を得るために精神を集中させること」です。
「智慧(ちえ)」は「仏となる覚りの智慧を得ること」です。
この内の「布施(ふせ)」「持戒(じかい)」
「忍辱(にんにく)」の三つが
「四誓偈(しせいげ)」本文の「離欲(りよく)」です。
「禅定(ぜんじょう)」が
本文の「深正念(じんしょうねん)」に相当します。
そして「智慧(ちえ)」が本文の
「浄慧(じょうえ)」に当たります。
これらを「精進(しょうじん)」して
修行することを「修梵行(しゅぼんぎょう)」といいます。
さて、仏さまには十の敬称があり、
それを「十号(じゅうごう)」といいます。
その内の九番目が「天人師(てんにんし)」で、
「天の神々と人々の師たる存在」という意味です。
ここまでが、「法蔵菩薩の誓い」です。