旅人が覚悟を決めたその時、
東の岸、つまり旅人の後ろから声がする。
「大丈夫だと信じてその白い道を渡れよ。
立ち止まったら死んでしまうぞ」
西の岸からは
「まっすぐにやって来い。
私が護ってやるから水や火を恐れずにやって来い」
という声が聞こえてくる。
東からの行けという声と
西からの来いの声に励まされて、
旅人は決心して白い道を進もうとする。
ところが少し歩き出すと
東の岸から賊達の叫び声が聞こえる。
「帰ってこい!悪いことは言わん。
そんな細い道を通って渡れるわけがないぞ。
間違いなく死んでしまうぞ!
悪いことは言わん!
戻って来い!」
その声を聞いても一切耳を貸さずに
ただひたすらに進んで行くと、
西の岸に無事到着する。
東の賊や獣たちからの危険もなくなり、
善い友に囲まれて幸せに過ごした。
以上が善導大師(ぜんどうだいし)によって
説かれた二河白道(にがびゃくどう)という譬えです。
この譬えは何を意味しているのでしょうか。
次回からこの譬えが意味するところを
お伝えしてまいります。